レンタルサーバの経緯の振り返り

ドメインhaijiso.comを取得して20年経過し、レンタルサーバやVPS諸々の契約を見直した機会に、ちょっと振り返って書き留めておくことにした。

レンタルサーバ以前の話

レンタルサーバなるサービスが登場する以前(概ね2000年以前だと思う)、同じようなことができるのはISPが提供するホームページサービス(どんな呼称が一般的だったのかわからないが)くらいしか多分なかった。これは数MBだったりせいぜい100MB以下程度の容量を割り当てられ、作成したファイルをFTPによりアップロードすることでWebサイトを公開することができたが、まだ静的なサイトが中心の時代、CGI/SSI(特にCGI)を使うことができるかはISP次第で、動的なサイトは負荷の原因やセキュリティが問題になることもあってか使用不可ないしISPが用意した物(カウンターとか掲示板とか)しか使用できないなど制限を設けているところも多くあり、私が利用していたISPも使用不可だった(別記事で書いたが、当時のインターネットは電話回線による従量課金のダイヤルアップ接続で、しかも電話料金はアクセスポイントまでの距離によって異なっていたため同一MA≒同じ市外局番内にアクセスポイントがあることが重要で、私の住んでいた田舎では同一MA内にアクセスポイントを持つISPが知る限り1社くらいしかなかったので、サービス内容に不満があってもISPを乗り換えるなどという選択肢がなかった)。

CGIが使用可能になればいろいろなことができることは理解していたので何とかしたかったがどうにもならず、当時はテレホーダイという夜間(23時~翌8時)の通話料金が一定になるサービスがあり、自宅PCでサーバを立てるとその夜間帯だけ外部からアクセス可能かつCGI(といってもPerlだけだったと思うが)を動かすことができ、そんなことをして遊んでいた(Windows 95で動くAN HTTPDというものがあり、「ダイヤルアップサーバ」とか呼んでいた)。

この頃、知人の伝で知人の知人が運営するサーバにアカウントを無料で作ってもらうことができ、SSHログインして何かしたりCGIを動かしたりすることができるようになった。

共同でレンタルサーバ利用開始

2001年頃に前述のサーバでトラブルが生じて使用できない時期があったりしたが、無料で使わせてもらっているものに文句を言うわけにもいかないし(実際には厚かましくも文句を言っていた気がするが)、自分達で借りた方がよかろうという話になって、高校卒業直前くらいの時期(2001年11月頃)からレンタルサーバを共同で利用し始めた(これが多分さくらインターネットのサーバだったと思う)。おそらく物理的な1台をレンタルするプランで、月額料金は1万円くらいしていたのではないかと思うが、数人で支払っていた(私は確か月2,000円弱払っていた)。ただ管理は全く分担していなかったので、いくらか支払っているとはいえ利用させてもらっているだけになっていた。このレンタルサーバは2010年春に転職を伴う収入減により支出を切り詰めるまで8年余りにわたって使い続けていた。

なお、最初の2001年は汎用JPドメインスタートの年で、これ以前は個人がJPドメインを取得するのは煩雑だった(らしい)。

ドメインhaijiso.com取得と自宅サーバ

2004年1月にhaijiso.comを取得した。具体的な目的があったわけではなく、当初は取り敢えず自宅のサーバ(FreeBSD機)でWebサーバを動かしていたはず。なぜ前述のレンタルサーバで済ませなかったのかは今となってはよくわからないが、内輪では何人もが自宅サーバを動かしていたので、単にその流れだったのではないかとは思う。それにしてもDynamic DNSで済むわけで、独自ドメインは必要ではなく、ドメインを取得したのはただのネタだった。

この頃、技術的なメモを自宅サーバに置いている人がいたが、数年後に本人が失踪した際に自宅サーバにもアクセスできなくなり、そのメモも失われてしまった(Internet Archiveに残っているもの)。当時もよくPCまわりで何かを試したいとき、同じことをやっている人がいないか検索したりしていたが、そういう際に参考になりうるメモが失われるのは惜しいことだという思いがあり、私が書いているもの(まさにこのメモを含めて)がそんな風に役に立つとは思わないが、せめて何か失われない形で残しておこうと思うようになった。

相乗り形式のレンタルサーバの価格低下、さくらのレンタルサーバ・スタンダードを契約

その後レンタルサーバのサービス自体がメジャーなものになり(この頃はまだISPが普通に前述のホームページサービスを提供していたので、それでは満足できないサイトを構築したい人が結構いたということだと思うが、独自ドメインが簡単に取れるようになったことも関係すると思う)、サーバのスペックも向上していき、1台を占有する形ではない、大分安いサービスが登場するようになった。2009年4月、これも目的が定かでないがさくらのレンタルサーバ・スタンダードを契約したが、容量3GBで月 500 円(年間一括なら 5,000 円)だった。3GBというのは今(2024年)となってはだけど、前述のISPのホームページサービスなどと比べると3GBというのはかなり大容量だったのではないかと思う。同一サーバに100アカウント以上が収容されていた。こちらではあまり意味もなく更に別のドメインを取得し、メールサーバとして使用するなどしていた(そのドメインは2019年に手放した)。

それから間もなく、2010年3月に容量が10GBとなった。この頃、先の共同で借りていたレンタルサーバから撤収するためWebサイト(の跡地)を移転したと思う(メールはGoogle Apps(現Google Workspace)に移転した)。これは2015年4月に同・ライトに移行(正確には解約&新規契約)するまで使っていたが、2024年現在同・ライトが100GB、同・スタンダードは300GBにまで増量されたり、スタンダードはMySQLで作成できるデータベースの個数が大幅に増えたりした。

なお、ライトはSSHログイン不可で不便するという理由で当初スタンダードを選択していた気がする(ともかく容量の問題ではなく、いくらだったかわからないが例えば1GBでもまあいいやと思っていたはず)。一方で2015年にライトに移行したのは、後述のVPSを契約したからSSHログイン環境が別にあったことと、前述のメールサーバ機能だけは残したかったから、らしい。

VPSの登場・DTI ServersMan@VPS Entryを契約

2009年頃にレンタルサーバとは別にVPSサービスが始まり、取り敢えず2010年4月にサービス開始したばかりのDTI ServersMan@VPSを契約した(レンタルサーバと揃えてさくらのVPSにしなかったのは、さくらのVPSは同年7月から無料トライアル、9月サービス開始とDTIよりサービス開始が遅く、かつ月額費用が高かったからだと思う)。これもまた試してみることが目的だったので、具体的な使途があるわけではなかった。Entryプランは当時490円で「ワンコインから利用できる」などと宣伝され、現在(2024年)に至るまで本体価格は値上げされていないが、消費税増税によって513円になっている(ただしその後2018年8月に下位のPetitプランが追加されたので、今でも実態としてワンコインから利用できる状態ではある)。また、Entryプランは当初メモリ256MB・HDD 10GBでスワップも不可だったが、2024年現在はメモリ1GB・ディスク50GBとなっている。

こちらは当初せいぜいIRC gatewayを常駐させるために使っていたと思うが(前述のさくらのレンタルサーバ・スタンダードはプロセスを常駐させることが禁止だったし、IRCnetの制約上同一IPアドレスからの接続は2セッションまでになっていたためグローバルIPアドレスを占有していないと不都合があったことと、IPv4の逆引きアドレスが*.jpでないと制約があったがServersMan@VPSは逆引きに自分の所有するドメインを設定することができたので都合がよかった)、次第にIRC自体を使わなくなってしまい、常駐をやめ、その後は長らく個人的ないし内輪のPukiWikiの置き場になっていた(これはPukiWikiを公開で使用していた時代、spam bot除けとしてWikiの書き換えに常にユーザ名・パスワードを要求する細工が存在したが(アクセス制限目的ではなくCAPTCHAもどきみたいなもの)、それがモジュールモードのPHPでしか動作しなかったため、当時CGIモードPHPしか選べなかったさくらのレンタルサーバに置けなかったからだと記憶している)。

2014年4月にCentOS 5から6にしたが、その後7にはバージョンアップしなかった。また、メールサーバとしても使わなかった。

Webは次第に常時SSL化がトレンドとなり、2018年4月にLet’s Encryptの設定をしたが、Let’s Encryptは90日に一度証明書を更新をしないといけないのでその設定を作ったが、さくらのレンタルサーバなどは特に自分で更新処理をする必要がないので(自動的に設定されるから)、最初からわかっていたこととはいえやっぱりVPSは面倒だなと思った。

そもそもレンタルサーバではなくVPSであるメリットはroot権限があって自由な設定ができることだと思うが、上述のような用途ならVPSでなくてもできるし、にもかかわらずOSや各種daemonの面倒(特にセキュリティ対策的な意味で)まで見なければいけなのはだるいのでいつか整理したいとは考えていたが、面倒なので長らく放置し、後述のXREA Freeに移行することで2024年4月に解約した。

ホームページサービスの縮小・終焉とレンタルサーバ以外のサービスのテスト

レンタルサーバ等のサービスが充実する一方でISPの提供するホームページサービスの需要が低下したためか(2010年代以降はSNSも流行し、発信する手段が多様になったのかも知れないが)、サービスを終了するISPが出始めた。特に大手かつ老舗であるOCNが2014年に翌年2月にホームページ作成サービス「Page ON」を終了すると発表した際は古くからあるサイトが移行を余儀なくされ、話題になったりした。また、ISPのサービスではないがホームページサービスのYahoo!ジオシティーズが2019年3月に終了し、このときも資料が失われたなどと話題になった。

こうした流れにより、Webサイトを運営する人はレンタルサーバであるとか何らかのISP外のサービスを利用せざるを得なくなっていったが、これに呼応する形で(だと思ってるけど)WordPressなどのCMSが簡単にインストールできることが謳い文句になっているなど(普通はWordPressをダウンロード&適切なディレクトリに展開し、DB作成を行い…というような手順があり、マニュアル通りだとしてもファイルシステムのツリー構造とか多少の知識が必要となる)、カジュアル層向けのレンタルサーバサービスが充実していった(知識のない人が使用できていいのか、は、別として…)。こうした中、無料でWordPressが使えるサービスが登場していることはなんとなく認識にあったが、今までのコンテンツを整理して引っ越すなどという作業は面倒なので、2024年3月頃まで放置していた。

また、SSHでログインして何かする環境は別として、少なくともWebに関してはレンタルサーバなりVPSなりにコンテンツを置くより既存サービスを利用した方が面倒がないのではないかと思い、2012年4月から前述の公開していたPukiWikiのうち引き続き公開しておきたいメモを(旧)Googleサイトに引っ越し、更に2013年頃からTumblrでブログを書いたりした(Tumblrは(旧)Googleサイトにまとめる前の下書きみたいな性質のものだった)。Tumblrはいつ頃までかTwitter(現X)に通知を投げる機能が動作していたので、Twitterに流せない長い文章を流すツールにもなっていた。いずれにせよ目的が定まらないのにあれこれ契約し、自らこうやってコンテンツをあちこちに作るので、更に複雑なことになった(しかも後述のように(旧)Googleサイトは2023年でサービス終了して新Googleサイトとなり、また移行せざるを得なくなった)。

ともかく気持ち的にこれらの「面倒」が全てになっていったが、とはいえ放置するのもセキュリティ的に好ましくなく、また有料サービスは支払いも継続的に発生しているわけで、いつか何とかしないといけないとはずっと思っていた。

XREA Freeに移行

XREAがレンタルサーバサービスを行っていること自体は知っていたが、そこに無料プランがあることを知らず、2022年6月になって契約した。これは無料だから契約したので、これまた当初は何も考えていなかったが、Tumblrで書いていたブログ(非常階段)が2022年10月頃に誤BANされたこと、Googleサイト(ハイジソどっとこむ)が2023年で終了することになったため、また面倒なことになり、結局統合したサイトをWordPressで作成した(のが今ご覧のこのサイト)。XREA FreeはSSHログインもできるしDB(MariaDB/PostgreSQL)も使え(さくらのレンタルサーバ・ライトはいずれも使えず、DBに関してはSQLiteを使用すればWordPressは動くらしいが、そこまですることないし…)、広告も今のところ控えめに1つ入るだけなのでまあいいことにした。また、レンタルサーバが無料であるということは、(割り当てたドメインについてはいったん置いておいて)支払いが滞るような事態になり得ずコンテンツが消えないということで、つまり私に何かあっても前出のようにサイトが消失するリスクが小さいという考えもあった。

ところでサーバとは何の関係もないが、目的もなく試しに何かをするような生活を色々な場面で続けているため部屋も試すだけ試したものでめちゃくちゃなことになっていていつか片付けたいと思っていたところ、2024年1月に近所のレンタルボックスの空きができたので、荷物を退避して作業スペースを作り、3か月かけて10~20年ぶりにかなりの量の物を処分した。

この際同じようにVPSやサーバも片付けようと思ったが、まずDTI ServersMan@VPSで動いているものはほとんどが自分専用になっており、XREA Freeの転送量制限(5GB/日)に引っかかる可能性がないので基本的にXREA Freeに移行することにした。この際、前述のPukiWikiは既にBASIC認証をかけて対外的に公開していなかったので久しくアップデートもしておらず1.4.7のままで、ちょっと手間取ったが無事に最新の1.5.4になり、PHPも5.3から8.1になり、体感的にえらく速くなった(PukiWikiのバージョンはともかく、PHPが5.3のままだったのはそれこそVPSに自分で新しいバージョンのPHPを導入しなかったからだが、さくらのレンタルサーバやXREA FreeはWebUIからPHPのバージョン切り替えが簡単にできるので、融通が利かなくてもいい(用意されたオプションしか利用できなくてもいい)ならVPSは選択肢にならないと思う)。

補足:自宅サーバの変遷

自宅に何らかのサーバがあることがレンタルサーバやVPSの選定に影響していたと思うので一応書き出しておく。2011年以前は正確な記録がなく、CPUを中心に概ねこんな感じだったということで…。

  1. 2002.04~2004.11? ASUS Terminator K7/AMD Duron 1.2GHz/FreeBSD
  2. 2004.11?~2007.03? ASUS A7S8X-MX/AMD Duron 1.2GHz/FreeBSD
  3. 2007.03?~2008.11? TYAN S2498AGNN/AMD Geode NX 1500@6W/FreeBSD
  4. 2008.11?~2011.05 intel D945GCLF2/intel Atom 330/FreeBSD
  5. 2011.05~2015.11 NETGEAR Stora/ARM Marvell 88F6281/組み込みLinux
  6. 2015.11~2022.09 HP ProLiant MicroServer N54L/AMD Turion II Neo N54L/CentOS
  7. 2022.09~ FriendlyELEC NanoPi NEO3/Rockchip RK3328/FriendlyCore(Ubuntu coreベース)

改めて書き出すと設置場所とか騒音とかスペック的な問題とか色々あったとは思うが、更改周期が長くなっていくのも前述の「面倒」に符合する感じはする。

(2024.04.15)


投稿日

カテゴリー:

投稿者:

タグ: